血盟城マル秘クリーニング大作戦T
「今なんと言った」
フォンヴォルテール卿グウェンダルは、
身体の震えを抑えながら目の前に立っている幼馴染みに聞いた.
聞こえなかったのですか?
と溜め息をついたその女性、
一般的には毒女と称されるフォンカーベルニコフ卿アニシナは、
もう一度楽しそうに話し始めた.
その目は希望に満ちている.
「この城、血盟城に弱い男が多い理由が判ったのです、それは――」
人指し指をビシっと立て、
次の言葉を言おうとしたその瞬間、
グ ウェンダルの冷たい言葉がとんだ.
「そこはもういい、最後の言葉を…」
だが、それにも負けずにアニシナは鋭く睨んだ.
「それは…この城が、汚いからです!!!!そこで、私が考 えたのは…」
諦めて溜め息をついているグウェンダルに微笑んだ.
優しく、だが悪魔のように….
「血盟城マル秘クリーニング大作戦です」
聞き違いであってほしい、そう願ったグウェンダルだったが、
現実からは逃げられなかった.
「…却下する」
せめて止めなければ、そう思った矢先、
次のアニシナの一言で希望は失われた.
「陛下の許可はとっています」
血盟城マル秘クリーニング大作戦は確実に決行だ.
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