ガチャ、と扉が開いた。
しかしそこには誰の姿も見当たらない。
不思議に思ってグウェンダルは扉の外を覗いてみた。
しかし外にもやはり誰もいない。
グ「あれ?風の悪戯なのかなぁ…」
と、部屋に戻りかけたその時、何かに後ろ頭を叩かれた。
見るとピコピコハンマーが中を浮いている。
グ「うわぁ〜お化けだ〜!!」
幼いグウェンダルは今まで見たことも無い怪奇現象に思わず金切り声をあげてしまった。
後ろからヒョイっとツェリが顔を覗かせる。
ツ「あら〜アニシナじゃない!お久しぶりね!」
今にも飛びつかんという様な勢いである。
グ「ア…ニ…シナ?」
グウェンダルが躊躇ったのも仕方がない。
今だピコピコハンマーが浮いているだけに見えるのだ。
とその時、ピコピコハンマーから声がした。
「どうやら私の新発明、魔動キレイに消せる君は成功のようですね!」
グ「…ピコピコハンマーが喋った…?」
とその時、まるでそこにあったカーテンを剥ぐようにして、
なにも無かった所から子供ながら凛とした空気を纏った燃えているような赤毛の、
自信に満ち溢れた表情の少女が現れた。
ア「お久しぶりです。魔王陛下。」
ツ「お久しぶりね〜ア・ニ・シ・ナvお兄様はお元気かしら?」
ア「はい。兄は今日も活きのよい鶏を探して右往左往しておりました。
ところで、私をこんな所まで呼び出して、何か重要な御用事でも?」
子供の頃から歴代魔王陛下に対峙してもこの態度。
流石と言うべきか、何と言うべきか……
ツ「それはね、」
ア「ところでそこの貴方!」
自分から疑問をぶっかけておいて、ツェリが答えようとするとセリフを奪いグウェンダルを名指しした。
この頃から人の話を聞かない。
話を聞かないのはこの頃からなのだろうか。
グウェンダルは今まで、蚊帳の外だっただけに、いきなり名指しされ答えるまでに少し躊躇してしまった。
グ「な…何…?」
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