大賢者が書類整理に勤しんでいる時に眞王が部屋に飛び込んできた。
   眞王が部屋に飛び込んできたことで事は動き出した。

眞「なぁなぁ」

賢「…何だ?」

眞「何怖い顔してるんだよ」

賢「お前がなかなかやらない書類を代わりに私がしているんだろうが…。
     …用事があるならさっさと言え。」

そう言いながらも大賢者はペンを只管走らせる。


眞「お前ホント冷たいな。」

賢「用事がないなら私は仕事に戻るが」

眞「うわ、待てって!」

賢「で? 何なんだ?」

眞「俺達に従ってくれる領地もこれで5つだろ?
      だから一回領地を視察しに行きたいなって。」

賢「…だから?」

眞「ここまで言えばフツー分かるだろ?」



ここまで言って大賢者はペンを走らせる手をやっと止めた。

賢「…では言い方を変えよう。私に何をして欲しいのだ?」

眞「一緒に行こう!!」

賢「却下。それは私が居なくては行けない事でもないだろう?」

眞「そりゃそうだけど… でもお前が一緒に居なきゃ意味がない。」

賢「何故だ?」

眞「俺とお前の二人でこの国をここまでにしたんだ。
      なのに一人だけ来ても意味がないだろう?」



眞王の台詞を聞いて大賢者は額に手を置き、天井を仰いだ。
   そして再び眞王と向かい合わせになる。

賢「…本当にお前はこんな時だけ口が達者だな。」

眞「そうか?」

賢「ああ。…それではこの仕事の山はどうする?」

眞「そんなもんフォンクライスト郷に任せておけ。」

賢「お前は一回言い出したら人の話聞かないからな…しょうがないな。
      で?準備はどうする?」

眞「その点は抜かりはない!!」

賢「本当にお前という奴は… こんな時だけ準備が早いな。」

眞「まぁな。準備も整ったことだし、さて行くぞ!!」

賢「…」

眞「返事は?!」

賢「…おぉ〜〜」

眞「もっと元気よく!!!」

賢「……最近のお前のテンションには流石に私も付き合いきれないぞ。」





その一時間後ーーー

フォンクライスト卿「陛下ー。猊下ー。
   美味しそうなお茶が入りましたよ。お茶でも飲んで少し休憩してください。」


ガチャッ

ク「…失礼しま……」

その部屋は既に蛻の殻であった。

ク「!! 陛下!?猊下!? わたくしに内緒でお二人で何処に行かれたのですか!?
      何故に陛下も猊下もそこまで私の事をお疎いになられるのですか…陛下ー!!猊下ー!!」

フォンクライスト郷の二人を探し回る声は血盟城中に響き渡った…




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