「おーい!買って来たぞ〜っ」

金髪の魔王が、両手いっぱいにお菓子を抱えてかけてくる。

「ん」

あーあ、あんなに沢山…

「なぁ、なんかな、無料だった!」

そりゃその顔で行けばな…

「…だからフードでも被って行けと言ったんだ。王としての自覚を…あ、おい落としたぞ」

「え?!どこどれ…」

足元足元。あ、踏んだ…

「じゃあそろそろ行くか」

「あー!待った!置いてくなーっ」

走りながらまたいくつか落としてるし。

奴が追い付くのを待って、馬を待たせている所まで歩いていくと唐突に質問された。

「なぁ、始めはどこにする?」

「…決めてなかったのか…」

おい、『テヘッ』じゃないだろ、『テヘッ』じゃ。

「やっぱり、あの…えーとガイコツ…」

「骨飛族か?骨地族か?」

「飛ぶ方」

「骨飛族だ」

「あいつの生態が気になるな−」

「お前の頭の方が気になる…ちゃんとミソ入ってんのか」

「ミソってなんだー」

「…もういい…」

相変わらずノーテンキな奴だ

「なぁ」

「なんだ」

「この旅が終わったらどこに行く?」

「帰って書類整理」

「………ヤダ」

「お前に拒否権はないはずだが?」

「えっそうなの?!てか嫌だよやだー。なんか探しに行こう!マル秘アイテムとかさー」

「マル秘なら誰も知らないじゃないか」

「えーじゃあ…未開の地へ!」

「未開の書類をどーにかしろ」

「あーもうっそればっかだなぁ」

言わないとやらないだろ(言ってもやらないけど)。

うんざりして見上げた空は遠いけど、沢山の鳥が飛んで…鳥?

「あ、骨飛族。」

「えっどこ?!上?あーホントだ、迎えに来てくれたのかな〜」

「連絡してたのか?!こんな時だけ行動が早いな…」

「骨パシー、骨パシーで連絡したの」

「妙な造語はやめろ」

ガイコツが手を振っている。

「わー…あんなに振って骨おちないのかなー…あれ?」

こちらにむかって複数の骨が落ちてきた。いや、急降下しているのか?

「おい、やばくないか」

次の瞬間、十数体の骨飛族が、なだれこむようにして突っ込んで…

「わー!わ――!!襲われるっ!ぎゃぁぁああ!!!」

「下品なさけび声をあげるなっ!おいっ、大丈夫か?!おいっ!!?」


これは真面目に…危ない…!!?

「へーか!おい!馬鹿魔王ー!アホ魔王――ッ!!」



この、万年ボケ−ッ!骨くらいよけろっ!!!!



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