腹の底から響くような笑い声だった。
「・・・ふふふ・・・うふふふふ・・・」
今まで色んな彼を顔を見てきたけど。
今まで色んな彼の声を聞いてきたけど。
こんなに怖いと思ったことはなかった。
いや、ぶっちゃければ何時だって怖かったけど。
でも。
「あああああの・・・」
ダイケンジャサン、コワイデス。
「ふふふふ・・・うふふふふふ・・・」
「な、何が可笑しいの、かな・・・?マイフレンド・・・」
「ふふふふ・・・あはははっは!!」
ガタガタブルブル。
怖いよ、おかーさーーん!!
彼は泣きそうだった。
っていうかもう既に泣いていた。
こんなに背筋の凍る思いをするぐらいなら旅に出たいだなんてワガママ云うんじゃなかった。
そもそも旅は始まったばかりっちゃ始まったばかりだけど、まだ全然進んでなくて。
そうだ!
お家はすぐ其処だ!
いっそ帰っちゃおうかな。
だってコイツ、コワイんだもん。
でもな。
脳内に響く歌声は今だ健在。
何だ、この上手とも下手ともつかない微妙な歌声は。
オレだったらもう少し上手に歌えるね!!
此処に彼を知る友人が居たら『お前、音痴だろ』と突っ込むところだが、此処には半ギレした相棒しかいない。
っていうかそうだ! こいつ、キレてたんだった!
1つ考えに嵌ると抜け出せなくなる性質だったので、すっかりめっきりアレほどに怖がった事実を忘れてしまっていた。
でも思い出しちゃったよ。
うわーおどうしよう。
このままコイツを引き摺って歩き続けていいのかしら。
だって・・・
「ふふふ・・・」
まだ笑ってるよ・・・。
「・・・ばかにしてから」
ぼそっと、ようやく笑い声ではない声が聞こえた。
そのイントネーションに、彼が半ギレところかカンペキにぷっつんいっちゃってることを知る。
「よーも身の程弁えもせんとわしにけんか売りよってからに・・・」
こうなってしまうともうどうしようもない。
「おいこら」
「は、はひっ!」
今の言葉全部に濁点が付いてた気がするのはボクの勘違いでせうか?!
気のせいなのでせうか?!
「行くぞ」
「ど、どちらに・・・?」
「決まっとろーが!!」
わしにけんか売りつけたボケに会いに行くんじゃ!!
「は、はひー!!」







 


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