瞳を閉じて


 
ほうもんしゃ?ええ.そうよ〜グゥエンダルv


 
母親の膝に座って、小首をかしげる愛らしい少年.

「誰ですか?」

「アニシナよ〜」

母親の名はツェツィーリエ.少年はグゥエンダルといった.

「あにしな…とは誰です,ははうえ」

聞いたことのない名前に疑心をもったグゥエンダルが、母親に可愛らしい顔を向けた.


ガッチャン,

扉の開いた音が、広い部屋に響いた.

「あら、こんにちわ.まっていたのよ〜.フォンカーベルニコフ卿アニシナちゃんvv」

グゥエンダルが扉の方を見ると、そこには、赤い髪を肩までのばした女の子が立っていた.

まだグゥエンダルと同じくらいの歳だろう.背もあまりかわりはなかった.

だが、一番に違ったのは、希望に輝く瞳だった.少女の瞳は深い水の色だったが、

グゥエンダルの目には、なぜか一瞬だけ黄金に見えた.

グゥエンダルがじっと見つめていると、少女は口を開いた.

「こんにちは!本日よりグゥエンダル君に幸運を与える為にご訪問さして頂きます、フォンカーベルニコフ卿アニシナ
です!」

女王陛下に会うのに緊張もせずに元気良く喋るアニシナに、

グゥエンダルは呆気にとられていたが、ツェリ様は平然としている.

「よくいらしてくれたわ、アニシナちゃん.グゥエンダルは口数が少なくて困っているのよ.きっと同い年の子供が傍にいないせいよね.少し城が遠いけれど、グゥエンダルと仲良くしてあげてねvv」

呆然としていたグゥエンダルが、やっと現状をしることができるようになった.

「…え???は、ははうえ」話の内容を整理したグゥエンダルが、

驚いた口調で叫んだ.それを見たアニシナは、子供ではないように、
 


そう、まさに毒女のようにクスっと笑った.
 


「さ、アニシナちゃん、あとはおまかせするわv邪魔者は退散よvほほほ〜」

そういって、高笑いをしながら部屋を去った.
 


グゥエンダルの悲劇はここから始まったのだった.
 


少し悪い予感がしたけれど、内心は嬉しさを感じていた.

理由はともあれ友達が出来たのだから.

グゥエンダルは、仲良くなろうと思い、早速アニシナに声をかけた.

「あ、アニシナちゃん…」

グゥエンダルの言葉に反応したアニシナは、ツェリ様の出ていった扉から目を剃らし、

愛らしい笑顔をグゥエンダルに向けた.

「さぁグゥエンダル、はじめましょう!!」

アニシナは腰に両手をあて、まぶしい目をよりいっそう輝かせた.

「はじめるって…なにを?アニシナちゃ…」

いいかけたグゥエンダルに、アニシナが右手の人指し指を向けた.

少し怒っていた…

「こら!!!アニシナちゃんとはなんです、ちゃんとは!!!」

名前にちゃんをつけて呼んではいけないと指摘され、

ひどくショックを受けたグゥエンダルだったが、アニシナの次のことばで彼はとても嬉しくなった.

「呼び捨てでいいですよ.これから私の相棒となるのに、そんな親近感のない呼び方ではいけませんよ.」

相棒という単語はよくわからないが、アニシナがにっこり笑って言っているので、

いい言葉なんだと悟り、グゥエンダルも、満面の笑みを見せた.

「さて、さきほどの質問ですが、今から実験をはじめます.」

喋りながら歩き出したアニシナは床に転がっているぬいぐるみを手にした.

「あ、くまちゃん…くまちゃんで何をするの?」

「いい質問です.このくまちゃんでちょっとした爆発実験を…」

グゥエンダルは、爆発という言葉に敏感に反応した.

「ちょっと待って!!!爆発って、ぼ〜ん!!どか〜ん!あ〜れ〜ってなっちゃうやつでしよ?やだよそん

なの!!!くまちゃんは大切な友達なんたがらぁ!!!」


 
―くまちゃんは、グゥエンダルが寂しく

ないようにツェリ様が買ってくれた大切なぬいぐるみだった.

友達のいないグゥエンダルは、いつもくまちゃんと遊んでいた.

秘密の事を喋っても、他の人にそれをばらさないので、

一番信頼の出来る友達だ.因みに大きさはグゥエンダルとおなじくらいだ.
 


「もんど〜むよ〜う!」

「いやぁ!」

グゥエンダルがなきかけの状態で、アニシナに飛びかかる寸前だった.

アニシナが爆弾を設置するのをやめた.

「しょうがないですね.今回のところはお近づきのしるしとして勘弁してあげます.」

「あ、ありがとっ」

もう涙ぼろぼろのグゥエンダルがしどろもどろに喋った.

「あ、アニシナの半分は優しさでっ出来ているんだねっ」

ぬいぐるみを爆破させるという発想に、はなっから優しさなんてあるはずがない.

半分という表現も微妙だ.

「そうですか」

アニシナは子供ならではの優しい笑みを見せた.

「しょうがないので今日の実験はここまでです.…すこし疲れましたね….」

勢いよくつっていたアニシナの瞳が、とろんとしてきた.

気をきかせたグゥエンダルが、

小さい体で毛布をはこんできた.

「はぁ、疲れたぁ…、結構重いな…」

「なんです?羊の毛などひっぱりだして」

確かにウール100%だ.

「ははうえがね、疲れたときは寝なさいっていってたから、ほら、床もじゅうたんでふかふかだよ?」

しゃがんでじゅうたんにふれるグゥエンダルにつられて、

もうあと数十秒でねそうなアニシナさんも床に膝をついた.

グゥエンダルがアニシナに毛布を渡すと、アニシナはじゅうたんにうつぶせに寝転んで、

もうふを被って睡眠にはいった.

「おやすみなさい」

グゥエンダルがそうつぶやくと、

アニシナはゆっくり体を起こし、グゥエンダルをひきたおした.


 
「え…」
 


アニシナはグゥエンダルにも毛布をかけ、すぐにまた眠った.


 
 
コンコン.扉を叩く音がした

「グゥエンダル〜アニシナちゃ〜ん、おやつの時間よ〜あら…」

ツェリ様が部屋に入ると、グゥエンダルとアニシナは一緒に眠っていた.

「もう仲良くなれたのね.それにしても可愛いわね〜写真にとっちゃいましょ」

カシャ
 



―向かい合って静かに眠っている二人の写真をとられたことも、

まだそれをツェリ様がもっていることも、グゥエンダルは知らないままであろう―








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トリハナゼトベルノダロウの春日 葉那様から相互記念に頂きました。

ふわっふわっ!!
グウェンが可愛い〜!! ツェリ様、その写真売ってください!!借金してでも買います!!
でもアニシナにばれたら、もにたあにされるでしょうね…。

この頃のアニシナにも慈悲の心はあったんですね。
涙ぼろぼろ流してるグウェンがまた可愛い>▽<
今そんなことしてたら少し恐ろしいんですけどね(笑)

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