『ペアルック』




眞魔国のすがすがしい朝が、今日もやってきた。

1番目覚まし鳥が鳴き出そうかという時、フォンヴォルテール卿グウェンダルが鳴い
た。


「うぎゃぁぁああああ!!!!」


今日もまた悪い事が起こりそうだ。









「…グウェンダルだったのですか、あの鳴き声は。全く、朝から品のない」

「それもこれも、お前のせいではないかアニシナ!!」

めずらしく、毒女に向かって怒鳴っているのは今朝の目覚まし男、フォンヴォルテー
ル卿である。

「きれいですよ、グウェンダル。」

にっこり。

「おぞましい事を言うなっ!」

震え上がり、微妙に青白い顔をしたグウェンダルが吠えた

「どこが気に入らないのです?美しい赤髪ではありませんか」

見事に真っ赤になってしまった、グウェンダルの長い髪を指して、毒女が言った。

「いつの間に染めたんだ、こんな…毒々しい色…ッ」

「わたくしは何もしておりませんが」

「嘘をつけ、嘘を!私が寝ている間にでも何かやらかしたのだろうが!」

「いいえ…いや…あぁもしかして…」

「なんだ?やはりなにかしたんだなっ?!」

そういえば、とアニシナは記憶を探る。

「この間、洗髪液を差し上げたでしょう?」

「あぁ、もらった。たしかうさちゃん印の……まさか」

「あれです!あれこそわたくしが長年研究してきた…」

「なんなんだ?!」

嫌な予感が非常にする!!

「『瞬間変身!どーくーおーんーなーセット〜』の一部です」

毒……毒おん…な…

「毒女セットだと――?!」

なんとも不吉なネーミングである。

「あなたに渡したのはそのセットの一部である、『毒女しゃんぷう』です」

「では、あのうさちゃんマークはなんだったんだ?!」

「あれは容器がなかったので代用しただけです。」

「なんだって?!?!」

あんな可愛い入れ物に毒女恐怖の液体Xが入っていたとは…!

「ではグウェンダル、データをとらせていただきますよ!」

「やめろ!オイ!私の髪に触るなーっ!!」

「数本抜くだけです、おとなしくしていなさい。ところでグウェンダル?」

「な、なんだ…?」

もはや半泣き状態である。

「あなたがしゃんぷうを使ったのはいつです?昨日ですか?」

「あぁ、そうだが…いっ、イタッ、やめろアニシナ!!」

「素直でよろしい。素直ついでに少しお黙りなさい。というか座りなさい。…届きま
せんから…」

最後の方は消え入るような声だ。

「何本抜くつもりだ」

かがみながら、グウェンダルは聞いた。

「数本です」

毒女的数本とは一体どのくらいだろう。

「話を戻しますが。昨日使った直後はなにも異変はなかったのですね」

「あぁ、今朝おきたら急に…っ痛、もう少し手加減を…」

「では効果が出る為に少し時間がかかり過ぎるようですね…。改良が必要です」

「普通に染めるのではいけないのか」

「肌に優しいものをつくるのです!肌荒れは美しい女性の大敵!それに、めんどくさ
い手間を省く必要もあります。女性は常に忙しいですからね。」

「…子供向けおもちゃではないのか?」

「第一目的はそうですが、ゆくゆくは白髪染め用のものもつくるつもりなのですよ。
陛下の変装も素早くできます!」

たまには実用性のあるものもつくれる様だ。

「あぁ、このくらいで結構です。ではこれを分析して…」

「おい、効果はいつまでだ」

「さあ?」

は??

「よく聞こえなかったが…」

「わかりません」

なんだって?

「わからんだと?」

「どのくらいで効果が切れるのかをみるために、あなたがいるのですよ?」

なんの為にあなたがいると思っているのですか?、と毒女は問いかけた。

別にグウェンダルの存在理由はもにたあになる為だけではないが、反論できるはずも
ない。

「今度、改良版も試していただきますからね」



絶望的だ…!!











グウェンダルの髪は、結局1週間で元に戻った。


「まぁ俺はてっきりペアルックなのかと思っちゃったよ」

「何か言ったか、陛下?」

「…イイエ」






ちなみにそのあと、今度はワインレッドの髪色になってしまったグウェンダルでし
た。



「少し濃ゆくなりすぎました…まだまだ改良が足りませんね!」

「…なぜ私が…」




それもこれも、毎回あの可愛いうさちゃん印の容器に入っているからだ…!!



 
 


END



***********************************************************************************

MARUMARUMAさん宅で1515を踏んで、相変わらず図々しくリクエストしてしまいました☆
清清しい朝が来て、一番最初に聞くのは悲鳴…。
きっと可愛いボトルに惑わされたんですよね(そうだと信じたい)(というか、一回で懲りなさい・笑。)
でも、赤い髪にグウェンも見てみたいです>▽<
しかし、グウェンもアニシナさんには弱いな〜
私もこれぐらいのアニシナさんの道具ネタだしたいです(切実)

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送